ヘッセ「デミアン」



デミアン (新潮文庫)

ヘルマン・ヘッセのデミアンを読んだ。
平和で清らかな家庭で育っていた主人公シンクレールが、謎の大人びたデミアンとの出会いに大いなる影響を受けて、世の中の見方が変化し、その後、自己の生き方などについて模索していくというような物語。文章は美しいが、全体的には暗さを帯びているのは、世界大戦後に書かれたからなのかもしれない。デミアンはデーモンのもじりなんだろうが、とはいえ全然悪い奴ではない。シンクレールの窮地を救ってくれたりする。ただ世間の常識や規範と逆のことを悪というのであれば悪魔ともいえる要素があるということだろうか。自己の内面の欲求に従うことが、周りの人間や社会と合致しないということは普通だと思うが、幸福になるためには自己の欲求を認識し、強い願いを持つことが重要だという作者の意思のようなものが感じられる。




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genre : 本・雑誌

ゲーテ「親和力」



親和力 (講談社文芸文庫)

ゲーテの親和力を読了。
親和力は元素の結びつきであるが、それを人間関係に置き換えたストーリー。ある夫婦の生活の間に、夫の友人と、妻の姪が入ってきた時に、夫と姪・妻と友人がそれぞれ惹かれ合うことになり、W不倫のような関係になってしまうというもの。しかし、夫側カップルは情緒に動かされて、そのまま関係を進めようとするが、妻側カップルは冷静に対処し、関係を終わらせようとするという違いがある。ある意味、昼ドラ的な?内容なのだが、ところどころ普遍的な深い文言が散りばめられているあたりが、ゲーテの凄さなのだろうか。結局、感情の赴くままに突き進もうとした側が、不幸な結果となるわけだけれども、結局そういう結果じゃないと当人達は救われなかったのかもしれない。

しかし、愛情を失った夫婦関係というものについても考えさせられる。愛情が冷めると、男は移り気で若い美女と結ばれるために離婚したがり、女は財産や世間体もあり夫婦という関係を続けたがるというのも、当時から変わってない人間の気質なのだろうか。昔からこの手の問題は延々と続いていると思われるが、なぜ、結婚かつ一夫一妻という制度が定着したのだろう。そしてそういう関係が人間にとって幸福なのかもよくわからない。自由主義的な考えが広まり、男女ともに稼げる時代になった近年、離婚率も増加しているというのは、そういう制度の限界を示唆しているのかもしれない。本の中に結婚は5年という期限付きという内容にすれば幸福に過ごせるみたいな話もでてくるが、ゲーテの結婚観が表れているのだろうか。



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genre : 小説・文学

ヴィルヘルム・マイスターの遍歴時代



ゲーテ:ヴィルヘルム・マイスターの遍歴時代

ゲーテの長編小説ヴィルヘルム・マイスターの後編。
全編の「修業時代」はわかりやすめで、すんなり楽しめるものでしたが、遍歴時代はなんというか、途中に挿話がやたらありますし、マトマリにかけていて難解でした。ゲーテの思想・思考について研究するならば、中・下巻は箴言ものっているので、おそらく非常に良い書籍だろうと思いますが、小説としては感情移入、あるいは没入しにくいという印象ですね。もちろん印象に残る記載には出会えますが。主人公のヴィルヘルムは修業時代ですでに成長し、その子供がでてくることもあってか、あるいはゲーテがメインテーマにしたかったのか教育の話などもでてきます。音楽以外は万能の天才ともいえるゲーテですが、人間それぞれ誰もが持つ長所・天性というものを伸ばすことを強調したかったのかもしれません。





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ツァラトゥストラはこう言った



ツァラトゥストラはこう言った 上 (岩波文庫 青 639-2)

ニーチェのツァラトゥストラを読んだ。
超人を理想とし、若干線民思想的で、暴言的な内容もあり、かつ言っていることも非常に難解。しかし、さすがに今の時代まで残っているだけあって、色々と含蓄のある言葉も多い。最大のテーマは永遠回帰ということであり、非宗教的な点は、日本における日本人の仏教信仰(ただし無神論)に近いのではないだろうか。利他的なことより、まず自分を愛することを重視し、人間とは自分の子供と、仕事だけを愛するとか、納得させられるものもある。このニーチェの作品自体が、ニーチェが創り出した子供・創造物であり、作者が望む通り、少なくとも今の時代まで永遠性・普遍性を持って読み継がれている。謎も多く、理解するところまではいかないけれど、名著だとは思う。

クラシック音楽でツァラトゥストラというと、R.シュトラウスの交響詩が有名であり、これまた名曲かつ大作。ただ、弾くのはとても難しい曲ですね。チェロもソロがあり、6パートに分かれたりしており、全員が上手じゃないと形にならないという。果たしてもう一度取り組み機会があるかどうか。



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色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年



村上春樹:色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年

オケ活も一段落ということで、村上春樹の小説を読んだ。
なかなかに長いタイトルだ。色彩を持たないというのは、主人公の多崎つくるが名前に色を持たないだけなく、「目立った特色がない」ということでもあるようだ。ある5人の仲良しグループの一人だったが、突然明確な理由もつげられず絶交状態にされ、死を意識するほどの絶望な状態に陥った主人公が、中年の域に差し掛かったころ、ある年上女性と仲良くなり、その女性の影響で当時の仲間に会いにいき、色々な事情がわかってくるという流れ。

しかし、色々な疑問などは解決されず、いまいちすっきりしない終わりである。絶望的と思われた主人公も、実は結構恵まれた立場なので、あまり感情移入もしづらかったり、いまいちメッセージ性も読み取りにくい感じがした。しかし、全体としては前向きに自己を捉えるための物語であったとは思う。




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ふじよん

Author:ふじよん
シンプルな生活を目指したいですね

ソフトウェアエンジニア(プログラマ)・ITコンサルタント・SE・個人投資家・資産運用アドバイザ・マネーコンサルタント・チェリスト・LineLiver・WEBライター・陸マイラー etc


音楽が主な趣味で、楽器はチェロとピアノを弾きます。チェロはオーケストラなどでエキストラ(賛助)としてよく弾いてます。チェロは不定期ですが指導も。他に登山(百名山登山)・美術館巡り・スパ温泉巡り・ヨガ・合唱などが近年のマイブーム。いろいろ手広くやってる自由人です。


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