マーラー「大地の歌」の最後と1楽章の関連について


2013.09.18

今、あるオーケストラでマーラーの「大地の歌」を弾く機会に恵まれています。
近々本番ということでスコアを読んでいたのですが、「お!」と思ったことがあったので、メモ代わりに以下に記載しておきます。マーラーの曲は研究し尽くされてますし、既出のことかもしれませんし、そうでなくてもあくまで私の勝手な気付きと推測の産物であり、正確なところはわからないので、ご参考までの情報です。


大地の歌の中で最も美しい終楽章「告別」の最後は、アルトが「永遠に・・・」を繰り返して静かに終わっていくのですが、マーラーが音で【永遠】を感じさせるように色々と工夫がされています。基本的に「永遠に」は音としては、《ミ⇒レ⇒ド》の進行でハ長調の主音のドで解決するのですが、そのドの解決をどんどん遅らせて、薄くしています。例えば、チェロもアルトソロと途中までユニゾンで動くのですが、最後はアルトとズレて音も交差され、「永遠に」の最初の音であるミを慣らすので、その後いつかアルトの「永遠に」の歌がくるような錯覚を起こさせます。

また、最後の和音はドミソの中で、「永遠に」の始まりの音であるミ(E)が強調された中、最高音でラ(A)が鳴ることで音楽が解決せずに続く印象を与えます。そして、更にこのラ(A)の音が1楽章のト短調を思い起こさせるのです。ト短調はハ長調の平行調という近さを感じさせる関係でもあります。

そこで、終楽章ラストの<永遠の音楽>の後に、1楽章に回帰すると考えてみると、1楽章の出だしのテノールの音は「永遠に」の《ミ⇒レ⇒ド》の進行の逆で「ド⇒レ⇒ミ⇒ファ」となります。このファで音楽が爆発・解放され、発展していくようになるということは、いわゆる「永遠の束縛」からの解放をも意味するのではと感じました。

大地の歌のラストと1楽章は、テンポ感や雰囲気的には全然異なるように感じられるものの、実は3/4拍子で1つ振りの音楽の流れという共通点があります。マーラーが東洋風の輪廻転生というものを本当に意識したのかはわかりませんが、「大地の歌」は音楽的には終楽章と1楽章が繋がっていて、永遠の回帰を繰り返しているように感じられ、凄い構想であるなと感じさせられました。


あと、蛇足ですが、大地の歌のラストは、ホルストの組曲「惑星」の土星の最後と似ていますね。ハ長調の中で色々な楽器の音を繰り返したり・ズラしたりして、ふわふわして美しい天上の音楽を創りあげて、最後はシとミの音が残って、ドミソの和音で解決されないようにして【永遠】を感じさせるようにしています。まるで土星の輪のような永遠の音楽で、ホルストはマーラーの大地の歌に影響を受けてあの箇所をつくった面もあるのではと感じました。


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ヤンソンス・バイエルン放送交響楽団 2012


2012.12.02 横浜みなとみらいホール


ヤンソンス・バイエルン放送交響楽団
ベートーヴェン交響曲 全曲演奏会 2012

指揮:マリス・ヤンソンス
ソプラノ:クリスティアーネ・カルク
アルト:藤村実穂子
テノール:ミヒャエル・シャーデ
バス:ミヒャエル・フォレ
合唱:バイエルン放送合唱団

[曲目]
ベートーヴェン:交響曲第2番
ベートーヴェン:交響曲第9番 合唱付き


今年もバイエルン放送交響楽団の演奏会へ。
演奏に外れがないので、毎回楽しみにしています。
しかも第九!アツイ!

さて、前半は交響曲2番。実は聴くのはじめてだったりしました。ところどころベートーヴェンって感じはするのですが、やはりモーツァルト的な爽やかさもどこか漂う曲でした。オーケストラの演奏はさすがに余裕があるもので、停滞する感じが全くありませんでしたね。


そして後半はメインの第九。みなとみらいホールの舞台の中に合唱も入っていたのですが、ちょっとオケが狭そうでしたね。演奏は圧巻で、深くて豊かな響き、一糸乱れぬアンサンブル、激難のパッセージもなんのそのという演奏でした。勿論ソリストの表現力や、合唱の音程・音量も素晴らしく、第九はこんなに響く音楽なんだな~と思わされました。生であの響きを体験しないと、その凄さは伝わらないと思います。有無を云わせない力がありました。ヤンソンスの指揮は思ったより、落ち着いたもので、合唱部分も興奮のるつぼと化すよりは、どちらかというとゆったり堂々とした歓喜の歌でした。そこにどこかしら冷静さを感じたのですが、その分アンサンブルは見事なもので、整った荘厳な響きになっていたように思います。そういえば、トランペットが一部バンダ?でしたね。遠くから聴こえる感じの表現をしたかったんでしょうか・・・。



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ブラームス交響曲第1番の推薦盤


2012.03.12


会社のSNSでブラームスの交響曲1番の推薦盤の紹介がありました。
せっかくの情報が社内だけで閉じるのも勿体無いため以下、記載しておきます。
指揮者とオーケストラだけで、演奏された年は省略されているのがほとんどですが、ご了承を。


カラヤン/ベルリンフィル(60年代、80年代来日公演)
フルトヴェングラー/ベルリンフィル
ラトル/ベルリンフィル
ベーム/ウィーンフィル
ケルテス/ウィーンフィル
ミュンシュ/パリ管
小澤/サイトウキネン
ストコフスキー/ロンドン響
テンシュテット/ロンドン響
ヴァント/北ダオイツ放送響
トスカニーニ/フィルハーモニア
クレンペラー/フィルハーモニア
ザンデルリンク/ドレスデン・シュターツカペレ



ご参考まで。


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サン・サーンス 交響曲第3番


2011.04.09

サン・サーンスの交響曲第3番<<オルガン付>>の練習をしている。
もともとこの曲の1楽章(前2つの曲のこと)は水のイメージがあったのだが、(不謹慎な感じではあるが)今回の大震災における津波のイメージが今重なっている。

↓自分のイメージ
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■1部(1楽章)
1.津波の襲来と猛威
2.鎮魂歌 (この曲の後半のピチカートの上の弦の最初のメロディを弾く部分はまるで水中にいるようだ)

■2部(2楽章)
3.(感情的な面も含めた)被災地の災害との格闘・復興の準備とあわただしさ
4.復興・再建 (途中、困難もある)
======================================================


もちろんサン・サーンスが津波のイメージでこの曲を作ったわけでなく、循環形式の実験、自然観察からの学び(海・川など)の投影、オルガンの暖かさと輝かしさを最大限に活かそうとした表題性のない曲だと思うのでこじつけには違いないのだけれど、自分はこのイメージでしばらく感情移入して弾いてみたいと思った。最後が再建完了(ハッピーエンド)で、希望や力を貰えるのが良い(これほど光を感じる最後は、マーラーの復活のラストぐらいか)。別の国の作曲家の曲ではあるが、復興に向けた心の支えになる曲の一つではないだろうか。

1-1


1-2


2-3


2-4




ブラームス:交響曲第4番

最近、フランスやロシアの作曲家の曲ばかり聴いていたため、たまにはドイツものでもと思い、ブラームスの交響曲第4番を久しぶりに聴いてみました。

ブラームスの交響曲は4曲あり、どれも個性的なので、人によってどれが一番好きか好みが結構別れます。身近なサンプルケースでは、玄人は2番を好きな傾向があるように思います。3番が好きという人はあんまり知らないかも。チェロが活躍していい曲ではありますが、確かに他の交響曲ほど何度も聴こうとは思わないかもしれません。クラシック初心者は、だいたい1番か4番ですが、1番も4楽章まで聴ききるかによりますね。それに対して4番は1楽章から名曲っぷり全開なので、総合的にみるとやはり4番かな。

と、無理やりこじつけましたが、私はこの人生の終わりを感じさせる4番が一番好きです。ブラームスが古き良き(悪き?)己の過去でも回想しながら書いたんでしょうか。1楽章で一通り燃え尽きたあとの、2楽章が特に良いですね。秋に聴きたくなるような少し涼しげな音楽です。4楽章も、忘れていた感情を思い起こすかのような情熱的な部分と、やっぱり孤独だよねって諦めたような部分がブレンドされていて、ブラームス先生はカッコイイなーと思うわけです。


ジュリーニ & ウィーン・フィルという組み合わせで聴いていますが、これがすっげー遅いんです。ゆっくり丁寧で内容が濃いというのは確かに好感が持てますが、あまりの遅さに(一応)若い私にはちょっと物足りない印象があります。3楽章とか4楽章とか、もっと速い方が好みです。ただでさえ重く感じる曲がさらにずっしりと感じる・・・、30年後に聴き直すと丁度いいかなと思っています。
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ふじよん

Author:ふじよん
ソフトウェアエンジニア(プログラマ)・ITコンサルタント・個人投資家・資産運用アドバイザー・マネーコンサルタント・チェリスト


音楽が主な趣味で、楽器はチェロとピアノを弾きます。チェロはオーケストラなどでエキストラ(賛助)としてよく弾いてます。チェロは不定期ですが指導も。他に登山(百名山登山)・美術館巡り・スパ温泉巡り・ヨガ・合唱などが近年のマイブーム。いろいろ手広くやってる自由人です。


専門はIT屋さんですが、長年やっている投資(資産運用)のほうも順調で、パッシブインデックス派、安定したリターンを生んでいます。ようやくアーリー・リタイアも可能な水準に。


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